感染経路や予防方法感染経路や予防方法

HIVの感染経路

限られている"うつるんです"は主に3つ。

HIVは、感染者の精液(カウパー氏腺液=通称先走り液を含む)・膣分泌液・血液・母乳などに潜んでいて、それらが媒体となって感染するので、感染経路は限られます。

汗や唾液、涙からは感染しません

≪ちょっと待った! コンドームなしのセックス≫

★“うつるんです”ナンバーワンは『性行為』を通しての感染です。

HIVに感染した男性の精液が、パートナーの膣や肛門などの性器、口の中に入ると、そこの粘膜から体の中にHIVが侵入して感染します。また、HIVに感染した女性の膣分泌液が、パートナーの性器や口の中に入っても同様にHIVが体内へと侵入して感染します(ちなみに、性感染症にかかっている場合には性器の粘膜が傷ついているのでHIV感染の可能性は高くなります)。

ですので、コンドームでHIVの侵入口を遮断してしまえば、感染を防ぐことができます。

射精をしなくても、射精前に分泌されるカウパー氏腺液(先走り液)にはHIVが含まれていますので、コンドームなしでペニスを挿入した時点で感染の可能性はでてきます。

セックスするときは必ずコンドームを使いましょう。ほかの性感染症の感染予防にもなります。

オーラルセックスのときも同様です(ゴム臭が苦手な人にはオーラルセックス専用コンドームがあります。また、女性への行為のときは女性用コンドームデンタルダムを使えばよいでしょう)。

感染している人の唾液にもHIVは含まれていますが、あまりに微量で人に感染させる力はありません。唾液だけで感染しようと思ったら、バケツ数杯分の唾液を一度に飲み込む必要があります。

したがって、キスだけでは感染しませんが、もし、感染している人の歯茎や口の中が傷ついて出血しているときにディープキスをすると感染の可能性はでてきます。

ささくれ(逆むけ)や切り傷のある指を感染している人の膣に入れた場合は、皮膚にHIVの含まれた体液が付着しただけでは感染しないので、ほんの少しささくれ立っている程度なら大丈夫ですが、ぱっくりと傷口が開いているような場合は、感染の可能性はゼロとはいえません。

コンドームメモ(正しい使い方など)

 

≪麻薬!覚せい剤! それ自体とんでもないし≫

★2つめの“うつるんです”は血液を媒体とした感染です。媒介役は『注射針』。

麻薬や覚せい剤の回し打ちで注射器を共用すると、注射針についた感染者の血からHIVが体内に侵入して感染します。

予防は簡単。麻薬や覚せい剤などに手を出さないことです。HIV感染の危険性はむろんのこと、手が後ろに回ります。

ほかに注射針を体に刺す機会といえば、採血や医療行為、献血のときですが、日本の医療機関や献血場所では、一度きりの使い捨て注射針を使用しているので感染の心配はありません。

また、輸血に関しても、現在では輸血用血液や血液製剤は、安全対策が取られていますので感染の可能性はほとんどありません。

ただ、医療従事者がHIV陽性者に使用した注射針を誤って自分に突き刺してしまった、いわゆる「針刺し事故」の感染率は0.3%程度といわれています。

なお、針は針でも『蚊』は媒体となりませんので、感染者を刺した蚊に刺されても感染しません。

 

≪あきらめないで! 妊娠・出産≫

★3つめの“うつるんです”は母親から赤ちゃんへの『母子感染』です。

母親がHIVに感染している場合、妊娠中に胎児が子宮内で感染したり、出産時の出血で赤ちゃんが感染したり、母乳を与えて感染したりすることがあります。

これらは、妊娠中に母親がHIV治療薬を飲んだり、帝王切開で赤ちゃんが母親の血に触れないようにし、赤ちゃんへの予防投与をしたり、母乳を与えないことで感染する確立を0.5%以下に抑えられるようになってきました。HIVに感染していても出産、育児をしている女性は少なくありません。

 

 

上記、3つの感染経路以外では感染しません。

つまり、次のようなことでは絶対に感染しませんのでご心配なく。

咳、くしゃみ、握手、電車のつり革、階段の手すり、カラオケのマイク、プール、風呂、洗面台、便座、お金、理・美容院、缶やペットボトルの回し飲み、パソコンなどの事務用品や食器類の共用、ペットなどの動物

 

≪もっと気軽に☆検査のすすめ≫

HIVに感染するのは、不特定多数のパートナーがいる人だと勘違いされがちですが、セックスをした経験があれば、誰にでも感染の可能性はあります。

信頼できる特定のパートナーがいても、その人の過去のパートナーにHIV感染した人がもしもいたとしたら、知らずに感染しているかもしれません。夫としかセックスの経験がないという女性が感染したケースもあります。

自分には関係ないと思わず、セックスの経験があれば、一度は検査してみましょう。パートナーと一緒に検査所を訪れるカップルも増えています。

 

 

コンドームメモ

→正しいコンドームの使い方はこちら

 

女性用コンドーム

女性の膣内に装着するコンドームです。

ポリウレタン製の薄い筒状の袋で、膣内へ挿入する内リングと外性器にかぶせる外リングが付いています。勃起してからでないと着けられない男性用コンドームと違って、セックス前からあらかじめ装着しておくことが可能です。外陰部を覆ってあるため、幅広く性感染症を防ぐことができ、クンニリングス(女性器をなめる行為)によるHIV感染予防にも有効です。

国内ではフェミドームの商品名で販売されています。もよりの薬局・量販店においてない場合はインターネットの通信販売などで入手できます。 

※男性用コンドームとの併用は、摩擦でずれたり破損したりするので避けてください。 

→女性用コンドームの正しい使い方はこちら

 

オーラルセックス専用コンドーム

ポリウレタン製のフェラチオ(ペニスをなめる行為)専用コンドームですので、挿入には使えません。

国内ではトリップスキンの商品名で販売されています。もよりの薬局・量販店においてない場合は通信販売などで入手できます。  

また、女性器や肛門へのオーラルセックスの場合、ラップを使ったり、コンドームを切り開いて使用したり、歯科治療で使うデンタルダムというラテックス製の薄いシートを使う方法もあります。

デンタルダムは通信販売で入手できます。