HIVに感染していたらHIVに感染していたら

HIV感染=死ではありません。また、エイズ=死でもありません。

HIV検査を受けて「陽性でした」といわれたら感染していることを意味し、「陰性でした」といわれたら感染していないことを意味します。

HIVに感染したということは、体の中にHIVがいるということです。

そのまま放っておくと体の中でウイルスが増えてしまい、免疫力が低下していずれはエイズを発症してしまいます。でも、投げやりになりないでください。ウイルス量と免疫力を定期的にチェックし、薬を飲むことでエイズの発症を抑制したり、また、エイズを発症していても治療することで、現在では必ずしも死に至らずに、慢性疾患として長く付き合える病気になっています。

感染が分かったら、できるだけ早く専門病院を受診して詳しく検査し、自分の免疫力の状態を把握してください。病院は、陽性告知をされた検査所で紹介してくれますし、全国各地にエイズ拠点病院があり、北海道にも設置されています。

感染後の生活

HIVに感染したからといって、これまでの生活の仕方を急に変える必要はありません。すぐに学校や仕事をやめなくても大丈夫です。定期的に通院して体調と相談しながら、学校に行ったり、仕事を続けることができます。

特別な暮らし方があるわけではなく、十分な休養とバランスの良い食事、適度な運動、風邪や食中毒予防、ストレス解消など一般的にいわれる健康な生活を心がけましょう。

日常生活をしていて、性行為以外で周りの人が感染することはありません。

自分がHIV陽性であることを周囲の人に告げるか(いつ、どこで、だれに、どのタイミングで)告げないかは、一番悩むところだと思います。告知をあせる必要はありませんが、1人で抱え込んでしまうと心の闇に陥りがちです。

HIVが悪さをしなくても、人間は心が萎えると体の免疫力が衰えます。専門の相談機関サポート団体を利用するのもひとつの手です。

また、仕事を続ける上で、病気を理解して味方になってくれそうな信頼できる上司や同僚がいれば、話すことによって、通院や服薬がしやすいよう心がけてもらったり、体に無理のかからない仕事配分にしてもらったりなど、助けが得られることもあります。通学に関しても同様、教師や同級生が味方になってくれるかもしれません。

セックスライフ

HIV陽性であってもセーファセックスを行えば、パートナーを感染させることなくセックスライフを楽しむことが可能です。

セーファセックス──すなわち、先走り液や精液、膣分泌液、血液をパートナーが体内に取り込んでしまわないよう注意深くコンドームでしっかりガードすることです。

でも、もしもパートナーがコンドームをつけることを嫌がったら…………。

それでもコンドームをつけようと押し切るのは強い意志が必要ですが、コンドームなしでするということは、大切なパートナーを感染させてしまうかもしれないということです。

勇気のいることですが、相手の協力を得るためにHIV陽性を告げるというのもひとつの選択肢です。

いずれにせよ、周りへの告知はあせらず、慎重にゆっくり考えて決めて下さい。

ちなみにパートナーも陽性の場合、HIV陽性者同士だからセーファセックスは関係ないと思われがちですが、お互いがタイプの異なるHIVに重複感染するかもしれません。陽性者同士でもコンドームでしっかりガードを忘れずに。

妊娠・出産

HIV陽性であっても、妊娠して子供に感染させずに出産することは可能です。

妊娠中に抗HIV薬を飲んで体の中のHIV量をできるだけ減らし、陣痛が始まる前に予定帝王切開をして、赤ちゃんが母親の血液に触れないようにします。赤ちゃんには6週間ほど感染予防のシロップ薬を飲ませます。母乳は与えずに粉ミルクにします。これらの措置で現在では、赤ちゃんへの感染率を0.5%以下に抑えることができるようになっていますので、妊娠中に感染が分かってもパニックにならないでください。医療スタッフのサポートを受け、無事に妊娠・出産・子育てをしているHIV陽性の女性も増えています。

また、HIV陽性が分かった後で将来、子供がほしいと思っているのなら、HIV治療専門病院の主治医にその気持ちを話し、服薬開始時期や薬の選択など将来の妊娠・出産を視野に入れた治療の方針を検討しましょう。

妊娠に関しては、自然妊娠はパートナーに感染リスクが生じてしまいますが、人工授精を実施している医療機関もありますので医療スタッフと相談してください。