HIV・エイズって何?
『HIV』とは、ヒト(Human) 免疫不全(Immunodeficiency) ウイルス(Virus)のことで、このウイルスに感染して、ある一定以上の免疫が低下した状態を『エイズ』と呼びます。エイズ(AIDS)はAcquired Immunodeficiency Syndrome の略称で日本語では『後天性免疫不全症候群』といいます。
人間の体には、病気にかからないように、体外から侵入した細菌やウイルスなどから身を守る免疫システムが備わっています。その防御線で戦っているのが血液の中の“白血球”軍団。その一員に“CD4リンパ球”がいます。HIVはCD4リンパ球にとりついて、これを破壊していきます。
このHIVとCD4リンパ球の戦いは、長くておよそ10年続き、短ければ1年たたずにやがてCD4リンパ球が劣勢となり、その数が減っていき、免疫力が弱まって、健康なときには問題にならない病原体に感染してさまざまな合併症を発症するようになります。この合併症を日和見感染症といい、これらの日和見感染症のどれを発症しても、エイズ発症と診断されます。
HIVに感染すると、人によって1~2週間で発熱や疲労感など軽い風邪のような症状が出ることもありますが、初期症状に気づかない人がほとんどです。さらにエイズを発症するまで3~10年、自覚症状のない潜伏期間が続きます。この期間、知らず知らずのうちに血液や体液を通して、他人にHIVを感染させてしまうかもしれません。このようなことを防ぐために、検査での確認が重要なのです。
また、現在ではこの潜伏期間に薬を投与することでエイズの発症を防いだり、遅らせたりすることができるようになってきました。早期に感染を発見することでさらにエイズ発症予防の可能性は高まります。
感染の可能性に思い当たったら、検査を受けに行きましょう(感染を確認する抗体ができるまで3ヶ月ほどかかるので、感染の可能性のある時期から3ヶ月以上経過してから検査に行くことをお勧めします)。
日和(空模様)を見て出かけるように、体の免疫状態をみて発症してくるので「日和見感染症」と呼ばれます(免疫の低下した状態で発症します)。
真菌感染症 |
カンジダ症 (食道に多いが全身) |
原虫感染症 |
クリプトスポリジウム症 (1カ月以上持続する下痢) |
細菌感染症 |
サルモネラ菌血症 (再発を繰り返すもの) |
ウイルス感染症 |
サイトメガロウイルス感染症 (全身、特に眼病変に注意) 進行性多巣性白質脳症 |
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カポジ肉腫 |
その他 |
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